無垢フローリングのサネは必要か?

職人日記

無垢フローリングのサネは、本当に必要だろうか?あまりにも当たり前過ぎて、あまりにも馬鹿馬鹿しくて、答える気がしません、と思うだろう。

でも、この道25年以上の私が満足出来る答をくれる人はいない。私も答えられない。

是非を論じる前に、では何故、サネが必要なのか?
→下地のレベル(平滑性)が悪い場合を想定し、フローリングを貼った後の目違い(段差)を無くす為、まずこの理由が出てくる。

その通り。
でも、この前提はあくまでも、フローリングの加工精度が高い事=それぞれのピースのサネが同じ高さで、同じ幅で製造されている事である。

その前提が守られない商品が、実に多い。
前提が守られないと、さてどうなるか?サネがあるお陰で、貼った後に目違いや床鳴りが発生してしまう。加えて、サネ接合部分は当然ながら、元々の強度が低いから、運悪く店舗などで、歩行頻度の高い場面にその部分が掛かってしまうと、その箇所は確実に割れ、後々の補修や貼替が不可能になってしまう。

本寄木、を知っていますか?
至高の床板と言われ、日本独自の室内工芸品として、国会図書館・
赤坂迎賓館などで採用され、百数十年経った今でも変わらない日本の伝統美である。この本寄木はサネがない。

フローリングにおいて、サネが必要だと思われるのは、根太に直接施工する場合だが、これも下からの湿気(に拠る暴れ)を恐れてか、まずメーカーはその形を推奨せず、まず合板を捨貼として使用する事を、強く促している。

これだけフローリングが世に普及していながら、その形状はメーカーに拠りまちまち、メーカー間の統一基準も無い。

これはすなわち、サネに一定の理論も無い、これならどんな場面でも大丈夫と言う完璧な形状がある訳でも無い、の裏返しではなかろうか?

サネは絶対、では無く、必要なら付ける。精度の悪いサネが横行しているが為に、サネがある事自体が、結果、クレームの原因となっている事を販売者は改めて直視し、理不尽なクレームを受けない為にも、クレームの原因をもっと掘り下げる必要がある、と強く思う。