長い付き合いの工事屋から、度重なる呼び出し有り。今日で実は4回目。場所は栃木県の中心部、今時の立派なリゾートホテルの食堂だ。
そのクレームとは、欧州産の豪華な厚いブナ無垢フローリングが伸び捲っている事。その度に見切材を外して、伸びた部分を測って、端口をカットする。そんな事している内に、見切材もバカになって、直ぐ外れちゃうから困ったもんだ。
このブナ材、現地ではそれなりのブランド品。施主が自ら気に入り、買い付け、自前で輸入して、工事屋に賃仕事させたと言う。これだけなら良くあるケース、施工時に感心したのは、こんなに厚い無垢フローリングであるにも拘らず、メーカー独自の工夫で、フロ-ティング工法(25年目の代償を参照)を実践している事だ。
現地メーカー長年のノウハウで、日本の四季の湿度・気候を加味した伸縮を割り出し、日本の現場に最適なアクセサリーを持ち込んだと言う。そういえば、昨年暮れの施工時には、本社からわざわざ外人が来て、施工指導されたっけ。その時は、このメーカーの正しい施工法へのこだわりに感銘したのだ。
それが、僅か半年で無残な結果となった。
暑さ、湿気いずれも想定外だったと言い訳は幾らでも付くが、ともかく事故は事故。半年の間に何回伸びた箇所をトリミングした事か!?その程度は、痛んだ見切りを交換しなければならない程!の厄介さ。
“本社”の、あの施工指導と自信は何だったのか?
木質フローリングでは、日本は後進国。まして施工方法に関して言えば、日本の常識は、海外の非常識。その意味では海外メーカー、特に欧州の製品・工法とも間違いなく日本より研究され、そして場数を踏んで訓練されていると言える。要は、洗練されている。
一方で、商品だけ優れていても、正しい工事が伴わなければ結果は事故、は火を見るより明らか。加えて”本社”の推奨する正しい工事は、決して日本では”そのまま”通用しないのも明らか。だって、気象条件も、施工条件も全然違うから!!そのまま通用しないのを、日本の状況を加味して通用する様に仕上げる、これが木質フローリングを扱う上で、輸入者必須の義務だ。こんな当たり前が判っていない輸入者が、まだまだ何と多い事か…….嘆かわしい。本国の施工案内を直訳した”だけ”の説明書が余りにも多い事からも、この勘違いが如何に多いか、容易に想像出来る。
今回は、施主の直輸入と言う事だから、素人にそれを期待するのも土台無理な話。となると、加害者の役目は誰が負うのか?現地からわざわざ来た外人?工事屋は、メーカーに言われた通りにやっているのだから、施主が文句を言える先は、最終メーカーしかあるまい。
それにしても…悲劇。結局残るは、このブランド価値の凋落と思うのは私だけだろうか?