2009年9月某日 今度は店舗で……またトランポリン!

職人日記

秋の連休前の金曜日、朝一番に知り合いの内装屋から呼び出される。またもやトランポリン発生!(職人日記>「床が……..トランポリンに大変身!?」参照)今度は店舗だって。

場所は著名高級住宅街のある都内某駅から、歩いて数分の輸入キッチン雑貨用品の専門店。店は3階構造で計400㎡と、それなりに広く、若い女性がわんさか居る。フローリング職人なんて、全く場違いだ。

案内された現場は、置き敷工法でラミネートフローリングを施工、これに部分的なトランポリンが数箇所発生していた。問題は、その箇所が陳列棚の目の前ばかり。踏む度に、ぶかぶか言うフローリングに、客の誰もが不思議そうな顔をしている。

当の施工業者を呼んでもらい事情を聞くと、其れなりに正しい施工方法を判っている。問題無し。では何故起こった?現場を具に観察すると、意外な事に原因があった。壁際とのクリアランスに、コーキングを施してしまっていたのだ。

無理も無い。デザイン上、幅木を取り付けない設計。こんなお洒落な店舗で、壁際のクリアランスをどう隠す!?フローリング施工業者の仕事が終わった後で、仕上内装屋は考えた挙句、フローリングの色と類似したコーキングをわざわざ買ってきて、御丁寧に全て注入し、クリアランスを隠したのだ。

う~ん、これは初めてのケース。硬化した後のコーキングが、フローリングの伸縮如きを吸収しない物、とは正直知らなかった。コーキングは硬化しても常に柔らかい物、と言う印象は、誰にでもあるだろう。

さぁ、どうやって直すか?

店舗であるが故、壁際には目一杯の陳列棚、そして綺麗に飾り付けられたデコレーションと、陳列方法を考え抜かれて置かれているであろう数々の商品、そして何よりも営業中だから、直せる時間は閉店~翌日開店までの限られた時間しか 無い。

一に考える、二に考える、そして三にも四にも考える……どうしたら陳列棚をどかさずに、持ち上がりを短時間で直せるのか???

閃いた!早速、車で近所のホームセンターに走り、数百円の文房具を購入して、閉店を待つ。そして作業に取り掛かる。論理的には間違いない方法だが、果たして本当に効くのか……今回ばかりは100%の自信を持てない。

翌日、内装屋から朝一番に℡あり「きれいに直りました、有難うございました。」と。

ホッとした。我ながら、よくとっさに機転が利いた物だ。実は、このフローリングを穴の開く程、見つめて思い付いた事、このデザインだからこそ出来た事。

これであの店も安心して、掻き入れ時の連休を迎えられる。折角だから、あの店にもう一度行って、母ちゃんに洒落た器の一つでも、買ってやるか。