シートフローリングの…皮が剥けた!?

職人日記

都内西部に初めてマンションを買った姪っ子から、ヘルプの電話有り。何かと思えば、子供がフローリングの皮を剥いてしまったので、見に来てくれと言う。

か、皮って…..一体何の事?ちゃんと説明してよ、の問いにも、旦那は単身赴任中、女性には良く判らないの一点張り。デベロッパーに文句言えば?のアドバイスにも、まずは知っている人に分析してもらって頭を整理してから文句を言う等、最もらしい事を言う。

可愛い姪っ子の為に、現場を終えて、その足で出向く。駅から10分以上歩くが、今時の洒落たファミリーマンションだ。

部屋に入り、実物を見て、びっくり。フローリングの壁際のピースの数枚の表面が真っ白になっている。触ってみれば、「剥けた」表面は買ったばかりの画用紙状態。そして「これが剥けた皮」と言って出してきた鉋屑の様に丸まったそれには、綺麗なバーチ柄が片面に印刷されている。

何の事は無い、流行のシートフローリングの表面化粧シートが、層間剥離を起こしたのである。

何らかの衝撃で、端っこが少し捲れあがっていたのを、幼稚園の息子が面白がって引張っている内に、シート全部を剥がしてしまったのである。子供は、今だに巨大なシールだと思っているらしい。

誰の責任?と言う前に、はてどうしたものか?と悩む。木目を書く訳にも行かないし、ここだけ上に何かを敷く訳にも行かないし、ここだけ同じ柄のシートを貼るのか、そのシートはどうする?……悩んでいる内に「叔父さん、長い事職人やってんでしょ!?」と言われた……仰る通りでございます。

ともかくデベロッパーに相談しろと姪にはアドバイスし、夜遅いからとの言い訳を残して退散した。

それにしても、流行のシートフローリング、ほんの小さな端口の傷で捲れたそれを、子供が力任せに剥がそうとした位で、綺麗に層間剥離とは…..こんな事故幾らでも有り得るだろう。後から聞けば、当該製品、無名メーカーでは全然無く、誰もが知っている日本を代表する上場建材メーカーの新製品だと言うから、更に驚いた。

下地には貴重なラワン、上には印刷した紙….ニーズに応じ値段も考えた新製品、それは否定しないが、こんな物でもフローリングと言うのか?日本では、こんな物がフローリングと呼ばれる商品の流行なのか?

「フローリングって、こんなちゃちな物なのぉ?まるで玩具ね」と言った、姪の言葉を、自らも繰り返す。