流行のシートフローリング

職人日記

シートフローリングなる製品が流行っている。従来の突板の代わりに、印刷したシートをラワン合板に貼った物。集合住宅で頻繁に見かける様になった。

メリットは多々あれど、最も大きいのは色むらが起き難い事。印刷物だから、無垢をスライスした突板では免れなかった色違いが起こる可能性は断然低い。メーカーやゼネコン、そしてデベロッパーに取って、この色むらほど扱い難いクレームは無い。何故なら感じる個人差が大きく、単純に数値化出来ないから。従ってオーナーが沢山居る集合住宅で、シートフロー リングの採用が進む理由は良く判る。印刷だったら、稀少樹種でも、幅広でも、訳無く出来るし。

そして何よりも驚くのは、表面の完成度。その高さを見るに付け、日本の印刷技術の優秀さには舌を巻く。今後、もっと本物に近づいていくに違いない。

ワックスも要らないと言うシートフローリング、では傷が付いた時に部分的に直せるのだろうか?答えはイエスと言っていいだろう。但し、まだ”手を選ぶ”、また従来の突板製のフローリングに比べて”要する時間は掛かる”が。

では、それで万事、懸念は解決か??

傷などを付けてしまった場合の修理に掛かるコストを考えてみよう。量販店で売っているクレヨンもどきで、傷を塗り潰して満足ならそれで良い。問題は、目を瞑って触っても補修箇所が判らない位の現状修復をせねばならない場合、もしプロの業者に頼めば、例え1箇所でも数万円は掛かる。

しかし考えてみよう。直しは所詮、直し以上の物では無く、新品では無い(当たり前だ)。何故、新品にしないのか?直しよりも手間・隙・金が掛かるから。

部分的に新品に替えると言う事は、剥がすと言う事だ。それは糊と釘でしっかり固定されているフローリングを、力任せに剥がす事を意味する。その場合、プロがやっても確実に、下地や壁のクロスを傷める。床暖房が入っていればフローリングの何十倍もする高価な床暖房パネルを損傷する。実はフローリング材料自体の値段は驚くほど知れていて、張替コストの最大の要因は、痛んだ周辺箇所を修復する事が桁違いに高いからなのだ。

痛んだフローリングだけを簡単に交換出来れば、手間も金も掛からず、そして廃棄物も出ない。何より、直すよりまっさらの新品になるのだ。歓迎しない人はいないだろう。

ではどうすればいいのか?フローリング自体を下地に固定しなければいいのだ。糊も釘も使わないのだから、必要とする副資材も少なくなる。ズレたり、動いたりしないかって?その工法が、実際に問題が無い事は、既に一部のフローリングで証明されています(→置き敷工法…職人日記「一部分だけ簡単に貼り替えられるフローリング」及び「25年目の代償」参照)。

日本の印刷技術の高さを、シートフローリングで見るに付け、もう一工夫あれば、商品力が俄然アップするのに….と思うのは我々だけだろうか?