2007年10月某日 都下のファミリーマンションにて

職人日記

知り合いの大工を介して、緊急出動要請有り。竣工後4年余りのファミリータイプのマンションで、フローリングが原因で施主と大騒動になっていると言う。どうやらリフォームでのトラブルらしい。

出向いてみれば、室内に入った途端、すごいシンナー臭。臭いの元はリビングに加え、何と幼い小学生姉妹の部屋。寒くなって来た折、始終窓を全開にしている訳にも行かず、こりゃ、子供が可愛そうだ。

事情を聞けば、リフォーム屋の下でフローリング貼替工事をした大工が、接着剤への予備知識が無かった為に、施工過程でフローリングのジョイント部分からはみ出した接着剤を小まめに拭き取りしなかったと言う。フローリング完工後、それを纏めて行おうとしたら、あらら、全然拭き取れず、結果、何とシンナーを大量に使ったと言う。

容易に想像が付くが、日本製の接着剤は押並べて性能がいい。それを一日近く放置したら、どんな接着剤でも固まってしまうのは当然である。

シンナーを使い、はみ出したそれは綺麗に取れたが、代わりに強烈な臭いが部屋に篭った。で、☆☆☆☆のフローリングも、☆☆☆☆の接着剤も、全て台無し。

結果は、見事に貼り替え。最後の拭き取り過程のミスだけで、全面貼り替えになるとは…..諸資材高騰の折、こんな事で、材料の全てを無駄にしてしまうとは、開いた口が塞がらないとはこの事か。

数多くのフローリング用接着剤の商品バリエーションに比して、拭取剤の用意が未整備な事も原因の一端。海外フローリングメーカーの多くが、接着剤に加え、拭取剤もセットにし、指定使用備品として販売しているのに対し、日本のメーカーは、こんな発想まだまだ。接着剤と拭取剤をセットで売っているブランドは、とても少ない。

「変な臭いがするから、お部屋に入りたくないよぉ~」と目の前で泣きじゃくるお嬢ちゃんに「ゴメンね、すぐ入れる様にしてあげるからね」と思わず声を掛けてしまう。