住み替え時のリフォームの目的

職人日記

住み替えの際によく行われるリフォーム工事で、以前の住人が、それなりに内装に金を掛けている場面に出くわす場合がある。

そんな折「いい物だから、クリーニングだけで済ませては如何?費用も抑えられるのだし」と過去提案して来たが、皆決まって「汚れは完全に取れないし、折角なので、目に見える箇所だけは新しいのがいい….」と言い、要は予算の許す限り、内装の一切合財を新しくしたいと言う。この傾向は裕福な人ほど顕著である様に感じる。

「汚れている事は汚い事」….この感覚は、日本人が昔から持っている所謂「宗教心のケガレ」だ。これをとやかくは言えない。

一方で、価値のある物を棄て、安物での安作り、つまり数年で寿命が来る造作材で、内装を固めてしまうリフォームの何と多い事か。古くても新しくても、要は「価値ある物を活かす」….これまでこんな改装業者に出会ったことが無い。

「リフォームの時代」と囃し立てられ、あらゆるレベルや規模の業者が乱立しながら、目だって成功しているのは、大手ハウスメーカーか大手キッチンメーカーの子会社だけである。これは自社製品の過去の購買者リストをなぞれば、客の確保を継続的に出来るのが、最大の理由。このリストを持たない独立系のリフォーム事業者で、大会社に迄なったもしくは大資本の一事業部が手掛けて成功した例は聞いた事が無い。

リフォームがいまひとつ市民権を得ず、生活に定着しないのはリフォーム=間取りの変更+新品なら内装造作材は何でも良い、と言うのが常識になってしまった事に大きな壁がある様に思われる。