2006年11月某日 神奈川県内の会社事務所応接室にて

職人日記

知り合いの会社社長から、リフォームした事務所の床が酷い事になっているので、見て欲しいとの依頼有り。

タイルカーペットが汚れたので、模様替えを兼ね、リフォーム屋に頼んで間仕切りを取っ払って広くしたのだと。応接室でもあり、床は奮発して、無垢のフロアに貼り替えさせたと言う。

樹種はケンパス、素晴らしい出来上がりのはずが…現場を見れば、表面のヒビ割れとザラ付きに加え、カップ反りも多数発生。確かに、これでは御客様を迎えられない。

当のリフォーム屋を呼び、作業内容を問えば、ケンパスの無塗装品にワックスを4~5回塗りして仕上げた、と。彼の言い分では、過去、同様に花梨で問題無く済んだので、塗布後、水拭可能と表示のあるワックスを、今回のケンパスの現場にも同様に施しました、と。

まずケンパスと花梨を比べるのが間違い。加えて、致命的なのは、施したワックスの説明ラベルを事前に全く読んでいない事!ここには、ちゃんと、”無塗装品には塗布不可。必ずニス等油性の物で仕上げてある床に施す事”と明記してある。

“水拭可能”の意は、主成分が水のワックスであると言う事。ケンパス、それも全く塗装を施していない裸のままの無垢材が、水を吸えば一時的に膨らみ、その後、乾燥して、ひび割れ・形状変化が出るのは、極当たり前の現象です。

明確な注意書きのあるワックスを、塗ってはいけない仕上に加え、不適切な樹種のフローリングをわざわざ選んで、それも回数塗るとは、自らクレームを誘発したも同然。

別室で社長に事情を話したら、予想通り!?私自身が手伝う(監督する)羽目になり、結局、このリフォーム屋と共同で、後日貼替作業となった。